枯節と枯具合
枯節と荒節
鰹節は加工法の違いにより、鰹節独特のカビをつける枯節(カビ付節)とカビをつけない荒節(裸節)に分けられます。鰹節はカビをつけて熟成させていくことで、乾燥が進んで旨味が凝縮していく一方、脂肪分は分解されてより上品でまろやかな風味の鰹節になっていきます。カビをつけない荒節(裸節)は、燻したときの薫香が強く残っており、枯節にくらべて乾燥度は低いので魚っぽさの残るようなだしが取れるのが特徴です。

こうした違いはどちらが良い悪いではなく、味の傾向の違いであり、それぞれの味の特性や風味に特徴があるので、料理や用途にあったものを選んでいくことが重要です。また、伝統的に関東圏のそばつゆには枯節(カビ付節)が、関西圏のうどんつゆには、荒節(裸節)がよく使われる傾向にあります。
カビ付けの利点
わざわざ鰹節に手間かけて鰹節にカビをつける利点とは何でしょうか?

まず、味の点で言えば、先述のとおり、「旨味の凝縮」と「より上品な味わいへの変化」があげられます。これは、カビが鰹節内の水分を吸い上げていくことにより、その分旨味が凝縮していくことと、同時に臭みや雑味の原因になりやすい脂肪分を分解することで、より上品な味わいに変わっていくことによります。

香りの面では、鰹節と燻したときの強い香りや魚っぽさにつながる香りは弱くなる一方、上品でまろやかな感じの香りへと変わっていきます。また、食感の面(薄削りにして食べた場合)では、荒節はやや口に残るようなものに対し、枯節は口溶けのよいものになります(こうした特徴は、裏を返せば、荒節の特徴でもありますので、最終的には味の方向性や好みの問題となります)。

こうした味の面での利点のほかには、カビが鰹節の皮膜になることによる「保存性の向上」もあげられます。
枯具合とは
枯節(カビ付節)は、製造からどれだけ枯らせるか(乾燥させるか)によって品質が変わってきますが、この乾燥具合を「枯具合(かれぐあい)」と言います。枯節は、そのカビの作用によって鰹節に含まれる水分が吸い上げられて乾燥していきます。水分が飛んでいく分、鰹節に含まれる旨味成分は凝縮していくため、同じ節でも枯らせた節のほうが鰹節本来の旨味の強いものになります。また、カビの作用で脂肪分が分解されていくため、やはり枯れているものの方が、雑味の少ないすっきりとしただしが取れるようになります。つまり、枯れているものの方が、上品ですっきりとしていて鰹節本来の旨みの強いだしがとれるようになるのです。

種類による違い」でも触れていますが、全く同じロットの鰹節(同じ魚群で、同じ日に、同じ製造家によって作られたもの)を出荷していても、半年くらい経った段階で、お客様から「味や香りが当初と変わってきた」というご評価を受けることが、実際にございます。これは、鰹節がまさに「生き物」であることの証であり、その味わいは少しずつではありますが常に変化を続けているのです。

枯本節(枯亀節)の場合、一般的に流通しているものは製造から数ヶ月、長くても1年程度経過したものがほとんどですが、枯具合の面で言えば、製造から二年以上経過し乾燥と熟成が極限まで進んだものが最上級の鰹節と言われております。ただし、この二年物に仕上げるには、非常に長い期間に渡り鰹節を保管・管理していかなければならないため、通常はほとんど出回ることがありませんでした。しかし、弊社では、より多くの皆様に最上級の味をお試しいただけるよう、この二年物を年間を通じて安定して供給できる体制を整えており、原料(節)、厚削り、粉砕品でのご提供を続けております。(二年物については「本枯本節二年物」もご参考にして下さい)。
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